旭岳 2022年の秋。「日本一早い紅葉」の宣伝文句にやすやすとのせられて、北海道の大雪山旭岳まででかけた。大雪山とは、旭岳をはじめとする山々の総称で、別に大雪山という山があるわけではないそうだ。現地に行ってみてはじめて知った。

 標高2千メートルを超える旭岳は、9月になれば早々と山麓の木々が色付き始める。その謳い文句どおり、日本国内でどこよりも早く紅葉が見られるとあって、シーズン中は全国からたくさんの観光客が訪れる北海道有数の観光地。

 北国の秋は短い。10月になれば山頂はもう雪化粧。紅葉どころではない。だからこそ、その短い秋をねらって、観光客も観光会社も先を競い合って旭岳をめざす。とりわけコロナの行動制限がすべて解除されたとあり、人出もハンパではないだろうと覚悟して、北海道の秋を楽しむツアーに出発したのだった。

 最も見頃の時期には少々出遅れたようだが、それでも2泊3日の旅は各所で紅葉を楽しめた。それ以上に、広大な大地に果てしなく畑がつづく景色こそ、北海道の魅力。まるで海外にでも来たような気分になり、あらためてその雄大さを肌で感じた旅だった。

 何よりも、凍てつく大地に鍬を入れ、寒風にさらされながら土を耕し、何度も失敗の涙を流したあげく、豊かな作物を手に入れた、開拓民の語りきれない苦労に思いを馳せる。その自然の恵みを日々いただいている幸せに、感謝するばかりである。

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