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9月4日(土)最終日
エダム~フォレンダム

 いよいよツアーも最終日をむかえた。今日1日観光し、そのまま夜の便で日本に帰る。午前中は自由行動なので、9時にホテルを出て、まずはトラムに乗って街の中心地へむかう。停留所をおりて、10分ほど歩いて「メヘレの跳ね橋」に到着した。アムステルダムに数ある橋のなかでも、最も有名な跳ね橋である。

●メヘレの跳ね橋のうえでささやかな国際交流

アムステルダムの猫その2 昨晩のCNNニュースでは、北オセチア共和国のベスランの学校占拠事件を、すべての番組を変更して、延々と報道していた。もちろん、英語なのでほとんど詳細はよくわからなかったが、子どもをふくめてたくさんの犠牲者が出たらしいことは、映像を見ていれば容易に想像できた。

 ロシア軍の強行突入で170人もの子どもたちが犠牲になり、そして、その発端は民族紛争を背景にしたテロだったたことを知ったのは、日本に帰ってからだった。どんな理由をもってしてもテロを合理化することは絶対に不可能だ。ましてや子どもを標的にするなど、人間の考えることではない。

マヘレの跳ね橋 さて、メヘレ橋に着くと、アムステルダムの観光名所にもかかわらず、まだ早朝なのか観光客は誰もいない。ときおり、橋の上を通る人がいるくらいだ。うっすらと霧がただよう橋の真ん中あたりに立ち、二人で代わる代わる写真を撮っていると、旅行者らしい外人男性がカメラを片手に近寄ってきた。

 写してくれるのかと思ったら、逆にシャッターを押してくれないかと頼まれた。一眼レフの重くて使い古された日本製カメラを渡され、それを構えていると、カメラは縦にしてくれだの、自転車が後ろを通る瞬間にシャッターをおせだのと、やたらと注文をつける。

運河を気持ちよく進むボート ちょうどタイミング良く、女性が自転車に乗って橋を通過するところをバックにして、すかさずシャッターを切る。うまく撮れたと彼は満足そうだった。それではお返しとばかり、今度は、わたしがシャッターをお願いする。男性が、カメラをいじくりながら、「ゼンジドウ?」とたどたどしい日本語で訊いてきたので、思わず「オーケー、オーケー」と笑顔で答えた。

 さらに、そのやりとりを近くで見ていたらしい若い外人男性が、シャッターを押してくれと寄ってくる。快くカメラを受け取って、わたしが「スマイル!」と声をかけてパチリ。男性は、「サンキュー!」と丁寧にお礼して、橋のむこうへ歩いていった。メヘレの橋の上でのささやかな国際交流となった。

花屋の男性 その後、徒歩で、花市までトラムで行く。さまざまな花屋が通りに面してずらりと店を出していて、チューリップの球根や、生花、造花、みやげ物の置物などが、テントの店で毎日売られている。球根が山のように積んであったが、検疫のために日本には持ち込めないのが残念だったが、木製の色とりどりのチューリップをおみやげに買い求めた。

 その足で、ベギンホフ教会にむかう。ガイドブックの地図をたよりに教会の場所を探し回ったが、なかなか見つからず、近くの商店街の若い女性店員に場所を訊ねた。どうもあまり知られていない教会らしく、女性は別の店員と相談していたが、しばらく待って返ってきた答えは、「この前を右に曲がったところで、誰かに聞いてくれ」というそっけないものだった。

●ベギンホフ教会でしばし厳粛な気分にひたる

ベギン会修道院の庭 言われた通り、右に曲がって道を入っていくと、すぐにベギンホフ教会の入口があった。門をくぐり抜けると、教会の庭が真ん中にあり、煉瓦造りの建物がその庭をずらりと取り囲んでいる。人影も少なく、すぐそばの商店街の騒々しさがうそのように、教会全体がひっそりと静まりかえっていることに驚きを感じる。カメラのシャッターを切ることさえためらわれるほど、静かで厳粛な雰囲気がその一画を支配していた。

 チャペルでは、ちょうど結婚式の準備をしていた。2人の女性がリボンでかわいらしい花を作り、それらはチャペルの席に一つずつ飾られていた。式服を着た2、3人の男性が、忙しそうに教会の庭を歩いていた。こんな静かな教会で結婚式をあげられる花嫁は、きっと幸せになるだろうなどと考えながら、ゆっくりと庭を歩いて回った。

結婚式の準備中 時計を見ると、もう引き返さなければならない時間になっていた。あわてて、教会の外に出て、24番のトラムに飛び乗ったが、運転手に訊くとホテルに行くには逆方向だとのことで、大あわてで次の停留所で飛び降りた。反対側の停留所に渡って、逆方向のトラムを待ったが、なかなか来ないので、16番のトラムでようやくホテルの近くまで帰ってきた。

 11時半にホテルをチェックアウトする。午後からは、オプショナルのエダムとフォレンダムへの小旅行が計画されている。参加者は14人で、女性4人のグループだけは別行動となった。福永さん、ガイドの備さんも同行する。

 12時前に出発したバスは、高速道路を通ってアムステルダムの北20キロにあるエダムへむかう。ノルトホラント州の小さな街エダムは、チーズで世界的に有名だ。車窓からのながめは、都会の景色から一変し、牛や羊が放牧された牧場が延々と遠くまでひろがる田園風景となった。運河が通っていて、小さな跳ね橋も見えた。これぞオランダという、壮大な風景をながめながらバスは快走する。

日蘭女性が仲良く記念撮影 エダムの街に近づいたあたりで、チーズ工場に立ち寄ってチーズの作り方を教わる。オランダの民族衣装を着た女性が、牛やヤギの乳からどのようにチーズが作るのかを丁寧にわかりやすく説明してくれた。それが終わると買い物タイムとなり、おみやげにスモークチーズとヤギのチーズを買った。チーズ工場のすぐそばには、ヤギの飼育場があり、ヤギといっしょに記念撮影する。

●きれいな住宅街を散策してエダムの休日を楽しむ

 ふたたびバスに乗り、エダム市街地に入る。狭い運河沿いにレンガ造りの小さなかわいらしい家が続く。どんな人たちが住んでいるのかと備さんに訊いたら、「アムステルダムのベットタウンですよ」と教えてくれた。自動車で30分ほどの距離は、大都市アムステルダムの通勤圏内で、住んでいる人はほとんどサラリーマンだそうだ。

窓の大きなオランダの民家 ちなみに、オランダの人たちは、家庭を大切にしていて、子どもの通学にはかならず、通勤前のお父さんやお母さんやが学校までついていくそうだ。夜も夕食前には帰ってきて、一家がそろって夕飯を食べるのが毎日の普通の暮らしだと備さんが言っていた。「残業」などという言葉は、この国には存在しないのであろう。

 土曜日の住宅街はとても静かで、みんな家の中でゆっくりと休日を過ごしているようだった。どこの家も、窓際には、花瓶や壺、人形など、お気に入りの品物がきちんと飾られている。これも、備さんに言わせれば、「家の窓は、オランダの主婦のキャンバス」だそうで、女性たちは、窓を通してわが家の自慢を見せているのだという。オランダ人は、とにかく家をきれいにするのが大好きで、そのことに命をかけているそうだ。確かに、どこに行っても、家の中や庭の美しさには感心させられた。

ここがベストスポット エダムの中心にある鐘楼が、ちょうど小さな跳ね橋の背景となっていて、その跳ね橋の前にふたりで立って写真を撮ってもらった。備さんの話では、この風景は、テレビ番組『世界の車窓から』でも紹介されたそうだ。

●若者たちの集う力強い港町フォレンダム

 エダムからバスで約10分ほどでフォレンダムの街に入る。フォレンダムは、アイセル湖畔にある港町である。アイセル湖は大堤防で海を仕切った人造の淡水湖で、面積は琵琶湖の1.5倍以上もある。オランダの国土自体が干拓で作られたもので、海よりも標高が低い。実際にバスで堤防の上を走ると、土地と湖面の高さの差がよくわかる。休日とあって、アイセル湖にはたくさんのヨットが青空の下で浮かんでいた。

 バスを降り、アイセル湖沿いの道を歩く。みやげ物屋やレストラン、カフェが所狭しと並んでいて、フォレンダムのメインストリートのようだ。このあたりでは有名な写真館があり、ショーウインドウには数十年前に撮ったと見られるオランダの民族衣装を着た吉永小百合の写真が飾ってあった。

にっこり笑顔の兄妹 多くの人たちが行き交う騒々しい表通りからそれて、狭い道を入っていくと、住宅が続いていた。レンガづくりの家から、兄と妹らしいふたりが顔をのぞかせ、妻が写真を撮ってもかまわないかと訊ねたら、お行儀良く並んでにっこりと笑い、ポーズまでとってくれた。

 住宅街を抜けてふたたび表通りに出る。カフェには、おびただしい数の人が集まっていた。バンドの生演奏をしていたり、大音響のロック音楽がスピーカーから流れていて、耳をふさぎたくなるほど騒々しい。屋台のサンドイッチ屋で、福永さんおすすめのニシンの塩漬けのサンドイッチを食べる。魚を揚げた「キースリング」というスナックも食べ、ビールも飲んでしばしオランダの休日を楽しむ。

店先でバンド演奏 どこの街から、あるいは、どこの国からきたのか、たくさんの若者が瓶ビールをラッパ飲みし、わいわいとおしゃべりしていた。だれもが心の底から休日を楽しんでいるのがわかる。通りを歩くだけで、若者たちのはじけるようなエネルギーを感じる。お日様の光がさんさんと降り注ぎ、半袖でも暑いくらいで、歩いていると額から汗が吹き出してきた。

 備さんの話では、オランダのこの時期でこの暑さは珍しいそうで、バスのトランクに積み込んだそれぞれのスーツケースには、ブルージュで買った高級チョコが入っており、それが溶けるのではないかと福永さんははらはらしていた。約1時間半のんびりと過ごし、最後のみやげも買って、フォレンダムをあとにする。4時にアムステルダムのホテルに到着し、別行動をしていた4人と合流し、その足でスキポール空港へむかった。

隣の人はだれ? 時間どおりに空港に着き、あれこれとお話を聞かせてもらったガイドの備さんに、あらためて感謝の言葉と別れをのべた。オランダはさらに秋の気配を深めていた。駆け足で通り過ぎたオランダ・ベルギーでの9日間に名残を惜しみながら、成田行きの飛行機に乗り込んだ。(終わり)

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オランダ・ベルギー旅行記

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